結婚したら夫の扶養に入ったほうが良い?
夫の扶養に入ったほうが税制上でお得なの?
そんな方へ向けて。
こんにちは、兼業主夫の(びっぐぱわー)です。
夫婦共働きで子育てをしている兼業主夫です。
筆者の家族構成・情報
・筆者:正社員フルタイムの理学療法士
・筆者の妻:正社員フルタイムの看護師(夜勤あり)
・子ども:1人(1歳半の保育園児)
多くの方が結婚したり、出産すると考えるのが「扶養」についてです!
今回は、共働きをする上で「扶養に入るべきか・入らないほうが良いのか」について解説していきます。
今後の人生設計の参考にしていただけますと幸いです。
そもそも「扶養」とは何か?
扶養とは
扶養とは一般的に、親族から経済的援助を受けることをいいます。
日本の所得税や社会保険(健康保険と厚生年金保険)においては扶養の考えがあり、被扶養者(扶養される人)の有無や人数に応じて、課税所得の軽減や、家族分の保険料が免除される仕組みになっています。
扶養を受けている者(被扶養者)は、収入が一定金額を超えると扶養から外れて(被扶養者ではなくなり)所得税や住民税に関する要件が変わり、税金の負担が大きくなってしまうということがあります。
扶養に入るタイミング
一般的に扶養に入る時期は以下の場合が多いです。
扶養に入る時期
- 結婚直後
- 妊娠・出産時
- 出産後
このように、結婚・出産のタイミングで夫の扶養に入る女性が多いです。
そのため、
「結婚・出産後の働き方をどうするのか」
「扶養に入るか・入らないか」
に関しては夫婦でしっかりと話し合っておく必要があります。
扶養控除は2種類ある
扶養控除には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあります。
一般的に「扶養内」と言うとこの2つが混ぜこぜになって語られることが多いですが、制度としては別物です。
税制上の扶養
税制上の扶養控除とは、所得税、住民税において配偶者控除(配偶者特別控除)が受けられることを意味します。
つまり、扶養家族がいる方は、所得税や住民税の負担が軽減されるということです。
配偶者控除とは
配偶者控除とは、控除を受ける納税者本人の1年間の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の1年間の合計所得金額が48万円以下の人が利用できる控除です。
配偶者控除は、以下の要件すべてを満たすときに適用できます。
- 民法規定の配偶者であること
民法規定の配偶者とは、市区町村役場において婚姻届出を提出して受理された、正式な婚姻関係にある配偶者のことです。婚姻関係のない内縁関係の配偶者は配偶者控除の対象になりません。 - 納税者と生計を一にしていること
別居している場合でも、生計を一にしていれば対象になります。 - 年間の合計所得金額が48万円以下であること
所得が給与所得のみの場合は給与収入が103万円以下で適用対象になります。 - 白色申告者の事業専従者でないこと
- 年間を通して青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていないこと
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること
国税庁(No.1191 配偶者控除)より引用
配偶者の収入がパートやアルバイトなどの給与収入のみの場合は、給与所得控除として最低55万円が控除となるので、年収103万円以下が対象となります。
また、給与所得以外に不動産所得や一時所得、譲渡所得などがある場合でも、その年の合計所得金額が48万円以下であれば配偶者控除を受けることができます。
配偶者特別控除とは
配偶者特別控除とは、配偶者の所得が48万円を超え、配偶者控除の対象外となる場合であっても、配偶者の所得額に応じて一定の所得控除を受けられる制度です。
配偶者特別控除を適用できるのは、以下の要件すべてを満たしたときです。
なお、配偶者控除と配偶者特別控除とを重複して適用することはできません。
- 民法規定の配偶者であること
配偶者控除と同様に、内縁関係の配偶者は対象になりません。 - 納税者と控除対象者が生計を一にしていること
- 控除対象の配偶者の年間合計所得額が48万円超133万円以下であること
- 白色申告者の事業専従者でないこと
- 年間を通して青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払いを受けていないこと
- 納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下であること
- 配偶者が配偶者特別控除を適用していないこと
- 配偶者が、源泉控除対象配偶者がある居住者として源泉徴収されていないこと
国税庁(No.1195 配偶者特別控除)より引用
納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が48万円を超え133万円以下であれば、配偶者特別控除を受けることができます。
なお、配偶者の収入がパートやアルバイトなどの給与収入のみの場合は103万円を超え201万6,000円未満が対象となります。
社会保険上の扶養
社会保険上の扶養控除とは、社会保険料に関する優遇を受けられることを意味します。
社会保険で扶養になれる条件を満たすことで、保険料を支払う必要がなくなります。
社会保険の扶養を受ける条件は年収130万円未満(通勤手当含む)です。
ただし、60歳以上または障害者の場合は「年間収入180万円未満」まで認められます。
〇〇万円の壁についての解説
前述したように、扶養に入れる条件は収入によって決まります。
ここからは、よく耳にする「〇〇万円の壁」について解説していきます。
103万円の壁とは?
103万円の壁とは、「バイトやパート代が、年103万円以内であれば、所得税が掛かりません」という年収のボーダーラインを指します。
つまり、前述したように税制上の扶養控除(配偶者控除)が受けられるということです。
このラインを超えると所得税が課せられることになります。
また仮に扶養に入っている場合は、扶養を抜けることになり、家族の税金が高くなってしまいます。
このように103万円を境にして納める税金額が異なってくるため「103万円の壁」と呼ばれています。
130万円の壁とは?
130万円の壁とは、「バイトやパート代が、年130万円未満であれば、社会保険料を払わなくていい」という年収のボーダーラインを指します。
130万円の壁
- 年収130万円未満:社会保険料の負担ゼロ
- 年収130万円以上:自分で社会保険料を支払う
このように130万円を超えると社会保険料を支払う必要があるため「130万円の壁」と呼ばれています。
103万円の壁は消え150万円の壁ができた!
2018年1月以降、103万円の壁が消え、新たに「150万円の壁」ができました。
税制改正により、2018年から配偶者控除を受けられる年収が103万円から150万円に引き上げられました。
これにより「103万円の壁」については、以前のように気にする必要がなくなりました。
ただし、「130万円の壁」は変わらず残っていますので、注意が必要です。
扶養に入るメリット・デメリット
ここからは、上記の内容を踏まえて扶養に入るメリット・デメリットについてお伝えします。
扶養に入るメリット
扶養に入るメリット
- 社会保険料の負担がなくなる
- 配偶者の税負担が軽減し、手取りが増える
- 保険料を納めることなく国民年金がもらえる
- 扶養手当をもらえる可能性がある
社会保険料の負担がなく、配偶者控除により配偶者の手取り収入が増えることが扶養に入るメリットになります。
また、福利厚生として「扶養手当」や「家族手当」を支給している会社もあります。
勤務先がこのような制度を設けている場合は、パートの収入が一定の金額を下回れば、毎月扶養手当が受け取れます。
扶養に入るデメリット
扶養に入るデメリット
- 収入が制限される
- 年金が少なくなる
- リスク分散できない
扶養に入る最大のデメリットは、収入が制限されることです。
また、国民年金はもらえますが厚生年金は受け取れません。
つまり、将来受け取れる年金が少なくなるということです。
そして、片方の収入に頼って生活するということは、フルタイムで働く夫婦に比べて万が一の時のリスク分散が難しいです。
フルタイムか扶養内で働くか
現在、正社員フルタイムの共働きをしているのであれば、扶養には入らずフルタイムで働き続けることをおすすめします。
理由としては、夫婦共働き正社員のほうがメリットが大きいからです。
夫婦共働き正社員のメリット
- リスク回避
- 税金・社会保険料が抑えられる
- 将来の年金受給額が増える
詳しくは以下の記事で解説しています。
よろしければ、ご参考ください。
まとめ
共働きをする上で「扶養に入るべきか・入らないほうが良いのか」について解説しました。
私個人的には、人生100年時代において共働きが非常に大切だと考えています。
結婚・出産のタイミングで扶養に入るか・入らないかについて夫婦でしっかりと話し合いましょう。
本記事が今後のキャリアプランや人生設計の参考になりますと幸いです。
オススメ・参考書籍: